「奴らに深き眠りを/Hoodlum」



1934年ニューヨーク。出所後。古巣に戻ったバンピーはナンバー賭博を牛耳る女王ステファニーと手を組んだ。だが、その利権に目を付けた、悪名高いギャングのダッチ・シュルツが圧力を掛けてきた! バンピーは暗黒街の犯罪王ラッキーと組んで、ダッチと前面抗争に突入してゆく!
血で血を洗う暴力と陰謀を豪華キャストで放つ、バイオレンス・アクション。



奴らに深き眠りを [DVD]



悪名高き禁酒法の施行によって莫大な富を築いたマフィアが次に目をつけたシノギが、1929年の大恐慌後に庶民の間で大流行した賭博「ナンバーズ」でした。
皮肉なことに現在の日本でも国によって公然と「ナンバーズ」は行われています。
歴史的事実を知ってか知らずか、今日も愚かな人達は「当たりくじ」目当てにカードを買うわけです。

当時、NYを5つのファミリーに分けたラッキー・ルチアーノと同盟を組むことになったダッチ・シュルツは自身の勢力をハーレム内にも求め、ハーレムを支配するマダム・クイーンと対立します。
そのマダム側に付いたのがローレンス・フィッシュバーン演じるバンピー・ジョンソンです。
そこの辺りの史実は良くわかりません。もちろん、ダッチ・シュルツと言えばマイヤー・ランスキー、バグジー・シーゲルらと並ぶユダヤ系のセレヴ・マフィアで超大物ですけど、バンピー・ジョンソンのことが詳細に書かれた文書を未だ読んでいないものですから。
マダム・クイーンのシマを荒らすダッチ・シュルツ一派と、マダムのシマを守ろうと奮闘するバンピー・ジョンソン一派の戦いが収められた映画です。

ローレンス・フィッシュバーンは「マトリクス」で一躍有名になりましたがさすがに存在感はたっぷりですね。
貫禄があってカッコいいです。
また、超大物マフィア:ラッキー・ルチアーノを演じるアンディ・ガルシアも適役で、大金持ちでカッコつ
けでキザなルチアーノを好演しています。
そして何より名演だと思うのが、ダッチ・シュルツを演じたティム・ロスです。
その下品さ、傍若無人さ、短気ぶり、イカレっぷりをこれでもかと見事に演じています。
ちなみに、「ダイハード」で嫌われ者の記者を演じたウィリアム・アザートンが今回も強欲な検事:トーマス・デューイを演じていまして実にハマってます。彼、やはり狡猾な嫌われ者を演じるのが上手なんですね。

妙な堅苦しさもなく、単純に楽しめるマフィア映画です。


ビル・デューク(監督)
『Car Wash』(1976年)、『アメリカン・ジゴロ』(1980年)に出演して名を広め、『コマンドー』(1985年)や『プレデター』(1987年)、『アクション・ジャクソン』(1988年)では、主演のアーノルド・シュワルツェネッガーやカール・ウェザースに引けをとらないほど、逞しいタフガイを好演した。
『A Rage in Harlem』(1991年)の監督を務め、映画監督としてのキャリアをスタート、1992年に『天使にラブ・ソングを…』をヒットさせ、その続編も大ヒットを記録した。