007 カジノロワイヤル


6代目ジェームズ・ボンドに抜擢されたダニエル・クレイグが初登場。ボンドが「007」の称号を与えられるスパイ誕生秘話が描かれている。シリーズの再スタートを予感させるシリーズ21作目。


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007と言えば英国秘密情報部の諜報員:ジェームズ・ボンドですね。
ショーン・コネリーの役作りがボンドのイメージを決定付けたことは疑いようが無いでしょう。
二代目のロジャー・ムーアは更にソフィスティケイトされ、ボンド=暴力ごとは苦手のプレイボーイみたいな図式になっていました。
そういった流れで行くと先代のピアーズ・プロズナンは適任だったのでしょう、知的でアクティブなプレイボーイそのものでしたからね。
それに彼はLARKのCMでもお馴染みだったので、受け入れられやすかったようです。

問題だったのは本作でボンド役に抜擢されたダニエル・クレイグです。
一部のマニアから「チビで不細工なダニエルはボンド役には似つかわしくない」と悪し様に酷評され、映画鑑賞をボイコットする騒ぎまで起こりました。
確かに本作以前に出演している映画でのダニエル・クレイグは妙なロングヘアで、お世辞にも二枚目とは呼べない風貌でした。

ところがです。本作を観て私は一気に彼のファンになったばかりでなく、数ある007シリーズの中でも最高の出来では無いかと感じました。
この「カジノロワイヤル」は007シリーズ原作の第一作目で、ボンドが「ダブルオー」の称号を得たばかりの頃の話なんですね。
ですから若さ故の暴走だとか荒っぽさ、青さが欲しいところでしょう。勿論、ボンドガールは必須ですから、彼女達を相手にしたセクシーなシーンもこなさなければなりません。
ダニエルはその全てを完璧に演技したと私は思うんです。
だいたい身体が凄くマッチョです、良くもまあここまで鍛え上げたなという肉体。
ひょっとしてステロイドやってますかね。
ちょっと分からないですけども、腹筋は見事に割れてますし、大胸筋は勿論、上腕二頭筋や僧坊筋、広背筋の起伏も素晴らしいです。
何より凄いのは(多分)CGを使ってないことです。最近のハリウッド映画ってちょっとCGに頼りすぎていて、観ていて興ざめする事が多いんですが、本作冒頭シーンでの高所アクション等は見応えあります。
子供だましのハイテクカーも登場しません
。原点に戻った感じなんでしょうか。

また、敵役のル・シッフルがいいです。いかにも冷血な顔つきで怖いですね~。
そして知性も感じさせる顔です。ポーカーでの心理戦描写も上手い。
勿論、恋人となるヴェスパー役の女優も美人ですし、贅沢なロケ、新旧アストン・マーチン登場など抑えどころもバッチリです。

と言う訳で、007ファンじゃなくても本作はオススメですね。
最高に贅沢な娯楽映画です。


ダニエル・クレイグ
イギリス出身の俳優、主な出演作に、『トゥームレイダー』(2001)、『ロード・トゥ・パーディション』(2002)、『シルヴィア』(2003)、スティーヴン・スピルバーグ監督の『ミュンヘン』(2005)で高い評価を得て、『007/カジノ・ロワイヤル』(2006)で6代目ジェームズ・ボンドに就任した。