「OUT」


2002年 日本映画

監督  平山秀幸

出演 原田美枝子, 倍賞美津子, 室井滋, 西田尚美, 香川照之


東京郊外の深夜の弁当工場で働く雅子、ヨシエ、邦子、弥生。家庭崩壊、老人介護、カード破産、夫の暴力など、それぞれに問題を抱える彼女たちに大きな事件が起こる。弥生の夫殺しに巻き込まれ、隠ぺい工作のため死体の解体作業をすることになる女たち。事件の秘密を知ったやくざと警察の執拗な追及が迫る中、彼女たちは、最悪の状況から抜け出すために、それぞれの人生への闘いを強いられていく……。
桐野夏生の傑作ベストセラーを映画化!


OUT [DVD]



直木賞作家:桐野夏生のベストセラー小説の映画化。
個人的に桐野夏生の作品が大好きで殆ど読破してるんですが(サイン会に行きましてサイン貰ったほどです)、中でもこの「OUT」は別格です。
ワーキングプアの実態、賭博にはまるサラリーマン、自転車操業のサラ金地獄生活、在日外国人労働者の厳しい現実、老人介護の難しさ、就職における若手(容姿端麗)人材重用による年齢(容姿)差別、家庭崩壊など現代日本が抱える様々な問題を、主婦による殺人、遺体解体(バラバラ)作業、遺棄等の事件を通じて鋭く描写しています。
映画化の話を聞いて、この長編を映画化するのは難しいだろうなと思ったのですが、案の定、読者に強い訴求力を持った大切な要素がかなり割愛されていました。
しかしまあ、2時間ちょっとのフィルムに上下2冊分のエッセンスを盛り込むのも無理な訳でして。
普通の主婦によるエグいバラバラ解体シーンなど、かなりリアルで気持ち悪いですが、それよりもそこに至るまでの主婦達の心理状態、動機などが非常に現実的で共感出来る恐ろしさがあります。
つまり、条件さえ揃えば私達だって殺人及び死体損壊、死体遺棄をやりかねない訳です。
恐ろしいですね。

さて、映画は主に主婦達の働く工場やバラバラ解体シーンに注力しています。主演は香取雅子役の原田美枝子、「師匠」役に倍賞美津子、仇役の佐竹には間寛平を起用。
なにげに原田美枝子の水着シーンが見所だったりします。
個人的にはもっと佐竹VS雅子のシーンを詳しく描いて欲しかったですけど、まあ無理でしょうね。
小説の実写版というのは難しいと痛感しました。監督が故:深作欣二だったらもっとドキュメンタリーチックに仕上がったかもしれませんけどね。