「ゴッドファーザー」


1972年 アメリカ映画

監督 フランシス・フォード・コッポラ

出演 マーロン・ブランド、アル・パチーノ

マリオ・プーゾのベストセラー小説の映画化で、フランシス・フォード・コッポラ監督の名を一躍有名にした傑作である。ジェームズ・カーン、アル・パチーノ、ロバート・デュヴァルらの演技と、静かなタッチのなかに展開する凄惨な抗争描写が見もの。以後のバイオレンス作品の手本となった。
ドン・コルレオーネを演じたマーロン・ブランドがアカデミー主演男優賞を受賞したほか、作品賞と脚色賞も受賞した。ニーノ・ロータによるテーマ曲も印象的。


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アメリカの主にイタリア系移民によるマフィア、いわゆる「コーザ・ノストラ」の一族の団結と沈黙の掟、裏切り、報復とその虚しさ等を描いた作品が本作です。
原作、脚本はマリオ・ブーゾ。監督F.コッポラ。主演のマーロン・ブランドはアカデミー主演男優賞を受賞し、アル・パチーノは一躍トップスターにのし上がりました。
本作で出て来るヴィト・コルレオーネ(マーロン・ブランド)は、NY5大ファミリーのドン:ジョゼフ・ボナンノ(02年没)をモデルにしたと言われており、マーロンは演技の上で実在のドン:フランク・コステロを真似たそうです。
映画化に際してパラマウント社はNYのコロンボ一家より「マフィア」という名称を使うなと堅く脅されたという逸話が残っています。確かに映画の中では一度もマフィアという呼び名は使われていません。しかし、この映画以降、マフィア映画というジャンルが確立され定着するのですから、さすがのコロンボ一家、ひいてはその背後にいたカルロ・ガンビーノら大物ボスも驚いたのではないでしょうか。
とにもかくにも、ヴィトは全てに絶対の存在で、その力はコルレオーネ一族と組織全体を支配しています。良くも悪くも絶対的父親=ゴッドファーザーなんですね。
実話に基づいたシーンが多いのも見所で、悪名高きフランク・シナトラをモデルにした芸能スターも登場しますし、ラスベガスでの殺戮シーンではベンジャミン・”バグジー”・シーゲルの殺され方を模し、アル・パチーノ扮するマイケルが最初の殺しを経験するシーンではチャーリー・”ラッキー”・ルチアーノ一味がジョー・マッセリアを暗殺した時と同じくトイレが絡んでいます。

本作の魅力は言うまでもなくマーロン・ブランドの渋い演技とアル・パチーノの熱演でしょう。
当初、パラマウント映画社はトラブルメーカーであるマーロンを起用したくないと主張し、マイケル役にはアルではなく、売出し中だったロバート・レッドフォードを使いたがっていたとか。
しかし誰がどう見たってロバートはシシリー人には見えないでしょう。
キャスティングに拘ったコッポラの勝利ですね。ちなみに、パラマウント映画の社長は本作が大ヒットしたにも関わらず、本作リリース後に辞職しています。
極端な低予算・短撮影期間(40数日)で仕上げられた「Part1」ですが、名優陣の熱演ぶりには驚かされます。
秀逸な音楽とともに実にお奨めな作品です。